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パフォーマンスユニット文殊の知恵熱「アイ ニジュウ」の公演情報!

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イノセントな感覚質

原田文明(美術家)

文殊の知恵熱が結成されて20年になるという。もうすぐ還暦をむかえようということも忘れ「えっ、そんなに?」と言ったところが彼らの正直な実感かもしれない。いや、これまでやってきた仕事ぶりから、「まだ20年?」などと意外な気もするし記憶も曖昧になってくる。

文殊の活動自体は松本秋則との出会いもあって比較的早くから知ってはいたけれど、私が彼らに注目したのはとりわけ彼らのもっている“イノセント”な要素だった。山口県の田舎町にまで来てもらって、「キッズパワープロジェクト2005“大人の子ども、子どもの大人”」というプロジェクトに参加していただいたのもきわめて自然な成り行きだったという気がしている。

その企画は、子ども性(イノセントな感覚質)に注目することで私たちが直面する諸問題について考え現在をみつめる、という子どもから大人までを対象とする複合的なイベントだった。多少、散漫な感じになったかもしれないけれど、アートから文学、音楽、舞台表現を含むものとして、地域で活動しているブックスタート、子育て支援、学校教育などの関係者まで引き込もうとした。文殊ならではのスクランブルを仕掛けることも実は大きなねらいでもあったのだ。

文殊の知恵熱ライブパフォーマンス「ターンオーバー」は気持ちの良い楽しさ可笑しさ面白さにあふれていた。不思議なことに言葉のない彼らのライブにどういうわけか小さな子どもたちが敏感に反応しているのだった。

彼らの舞台づくりはとても楽しい。まさしく、とうじ魔とうじが言うように舞踏・音楽・美術の役割分担ではなく3人が等しく演者であり演出家であるということだった。さらに、そのことは現地の舞台監督から照明スタッフのほか舞台に立った若い人たちまで巻き込み集合的なコラボレーションへと変化していくのだった。

文殊の舞台は決して洗練や熟練には向かわないらしい。そして、彼らに失敗はないという。当初は舞台美術のイメージが確認できなくて困惑していたスタッフも、いつの間にか彼らのペースに巻き込まれ舞台づくりの中央にいることになっていたのだった。

「ターンオーバー」の構成はこうだ。まず、スクリーンにこれまでの文殊の公演のようすが映し出される。さらに、特殊な音具(楽器)がステージ中央に運び出され3人の演奏する音がアンプで増幅され、そのようすがリアルタイムでスクリーンに映し出され音遊びと重なる。次にホールの外(絵本の原画が展示され、子どもたちに読み聞かせをするダンボール小屋などがセットされているエントランス)で巨大な風船が膨らまされているようすが映し出される。すると突然、その巨大な風船が観客の背後から頭越しに会場内に運び込まれ大騒ぎとなる、といった具合だ。

さらに、ステージ上に運ばれた巨大な風船に重なるように子どもの大人が、のた打ち回りながら風船の空気を抜いているのだ。そのとき不思議な音が聞える。実は風船から空気が抜けると音がでる仕掛けなのだ。次第に風船は萎んでいき子どもの大人はステージから静かに退場する。

その後も次々に繰り広げられる音遊びの無言劇は不思議なことにイノセントな状況をつくりだし、子どもにも大人にも伝わってくる気持ちの良い楽しさ可笑しさ面白さとともに滑稽な印象さえ与える。小さな子どもが興じるのも無理はない。
おそらく、私たち人間の本質として子どもと大人に共通する感覚があるからこそ、小さな子どもが敏感に反応するのではないか。

文殊が奏でる音具(楽器)は極めて日常的なもの(ダンボール箱、ビニールホース、TVアンテナ管や灰皿など)でできているところがさらに面白さを誘う。それらは決して仰々しいものではない。何でもない日常的なものを扱いながら、日常を逸脱した感覚や価値観で向き合うところに文殊の発見があるとも言えよう。

それは、子どもが一人遊びで興じる無垢なる精神(感覚)と共通していないだろうか。



2005年に山口公演を企画してくださった原田文明さん、長文の論考をありがとうございました。
我々が現地入りする直前、山口の観光名所で有名な錦帯橋が大水で決壊!ニュース映像を見ながら「どうなっちゃうんだ!?」と大変心配しましたが、地元スタッフの皆様の御尽力で公演は大成功、打ち上げは丸太小屋でのバーベキュー!さすが高森牛で知られる牛肉名産地、美味しかったっす!!お酒はもちろん「獺祭」でね〜♪
公演翌日は“山口県民なら誰でも知っている(by山中カメラ)”という「山賊」というスゴイ店でまた御馳走になり、その後ワークショップ。楽しかったです。山賊さん、巨大オニギリの差入れ(←どうスゴイ店なのかのヒントです)ありがとうございました。あ〜山口、また行きたいなー。
<とうじ魔とうじ>

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文殊の知恵熱
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非公開
自己紹介:
とうじ魔とうじ《特殊音楽家》松本秋則《不思議美術家》村田青朔《元舞踏演芸家》の3人によるパフォーマンス・ユニット。一見、とうじ魔が音楽担当、松本が美術担当、そして村田が踊るのだと思われがちだが、そうではない。それぞれのジャンルを浸食しあい、超越する舞台作りに挑戦している。例えば肉体を動かすことによって音が鳴る、楽器自体が舞台美術になる、オブジェが演じるといった様々な仕掛けや発想で、今まで味わったことのない五感、六感で感じる<面白さ>を体験できる作品を発表し続けている。
不思議な音や光を体感しているうちに、観客たちはいつの間にか頭がほぐされ、新たな発見に巡り会う。身近にあるものを素材にし、あっと驚く展開と遊び心溢れるその作品世界は、世代や国境を超え、幅広い層に定評を得ている。

---1989年結成。第1回公演『ブン・ブン・ブン』以降、美術館からライブハウス、野外、児童館など多岐に渡り活動。'08過去の記録映像が収録されたDVD「文殊の知恵熱アーカイブス-奇蹟の軌跡」(BankART)発売。
http://www004.upp.so-net.ne.jp/toji/monjyu/monju.html
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